75年の営業に幕
私の実家は、お菓子や食料品を扱う小さなお店をしています。戦後、夫を空襲で亡くした祖母が、食べていくために始めたお店です。
20年以上、当時の東京市で暮らしていた祖母は、多少は都会的な目を持っていたようで、わざわざ大きな街まで仕入れに行き、田舎町にはないような、ちょっとハイカラな商品を置いていたそうです。と、父から聞きました。
他店との差別化ですね。
車のない時代だったこと、子どもを抱えた未亡人に周りの人も同情してくれたこともあって、繁盛したんだそうです。
時代の流れで、店だけで生活ができなくなっても、まだ私が子どもの頃は、クリスマスになればケーキの箱が沢山積まれていたり、祖母と母が2人で店に立っていたので、それなりだったんだろうと思います。
現在は、商店街と呼ぶのもおこがましいほどお店も人も減り、実家の店も取り扱う品物がグーンと減り、いつ辞めてもいい状況になりましたが、店を受け継いだ母は
「ボケ防止だよ。」
と細々と続けていました。
その母が突然倒れて復帰は見込めない。
さてお店をどうしよう?
姪っ子は
「土日だけ私たちが開けてもねぇ。そもそも買いに来る人って、おばあちゃんの友だちだし。」
そうだよね。お茶飲みがてらお喋りがてらの買い物客だけだ。
店の在庫、どうしよう⁉︎問題
ピコーン!とひらめいたのは、私が勤める地域コミュニティ組織が運営する、お年寄りのサロンで売れないか、ということ。
元々、客寄せで少しお菓子を売っています。客層が一緒なので、似た様な商品もあります。
ダメ元で聞いてみようと、ボランティアさんに相談してみると、
「あら、いいじゃない。」
と色良い返事。組織の会長さんにも話すと
「別にいいよ。」
道が開けました。
ボランティアさんは、お菓子以外に調味料やカップ麺等にも興味を示してくれて、
「お年寄りはさ、なかなか遠くまで買い物に行けないから、こういうの欲しいのよ。試しに少し置いてみよう。訳あり商品てことで。」
とノリノリでした。
こちらとしては、勿体ないし、少しでも現金化したいし、本当にありがたいことです。
実家の兄には、
「在庫の商品名、数量、賞味期限の一覧表を作って。」
と頼みました。
ちゃんと帳面を付けていないし、納品書の在りかもわからず、仕入値もわからない物も結構あったりするので、スーパーで値段をチェックしてこなくちゃな、と思っています。
あとは、長年足を運んでくれた母のお友だち客の皆さんに配るのもいいかなぁ、と勝手に考えています。
その他、ガラスケースや商品棚の処分もあるし、廃業するにあたり役所への届出がいるようです。まぁ、それは急がなくていいので、まずは在庫の目処がついてホッとしています。
慌てずに幕を引こうと思っています。
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