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夢見る頃はとうに過ぎたけど

地方住みアラフィフ主婦のあれこれ思ったこと

このために来たんだ

「母の夢を叶えたろか」の最終日は、

埼玉の高齢者施設で暮らす95歳の姉に会うこと

 

従姉妹から、伯母が居る施設の最寄り駅近くにあるイタリアンのお店を予約したから、と連絡がありました。

イタリアン? 

私は嬉しいけど母はあまり食べないような…伯母もそれでいいのかしら?

従姉妹の好みなんか?と不思議でした。

 

さて、待ち合わせ時間10分前。お店の前に現れた伯母と従姉妹。

私は従姉妹に支えられやっと歩いている伯母の姿に、あんなにシャンシャンとしていたのにとショックを受けてしまいました。

腹筋が無くなったのか頭を上げて歩くことができず、まるで『リング』の貞子のように下を向いてゆっくりと動いている印象で、切なくなってしまった。

 

お店の前にある椅子に伯母が腰掛けて、ようやく顔を上げニッコリ。

母は伯母の手を取り隣に座ると言葉にならない様子で抱擁、ふたりで涙、涙。

その様子に、従姉妹と

「どうしても会わせてあげたかったよね。」

と言いながら、もらい泣き。

そう、このために来たんだと心底思いました。

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伯母は最近、腸閉塞になったりして、施設での食事が刻み食になったそうで

「つまらないの。」

それで外に出た時は必ず、このお店で大好きなピザを食べるのだとか。

イタリアンは伯母の好みでした。

 

肉が食べたいとか、美味しいお菓子が食べたいとか、娘に差し入れをお願いして、

「部屋でこっそり食べるのよ。魚ばっかりで嫌になっちゃうから。」

悪戯っぽく笑う伯母。

美容院に行って髪を染めてもらい、お肌も艶々。服に合わせた色のスカーフを巻いて、以前と変わらずおしゃれさんです。

 

筋力の衰えた伯母は食事中、ひっくり返しそうで危なかっしく、隣の席に座った母は、甲斐甲斐しく伯母のお世話を焼いていて、なんだか急に元気が出てきたみたいでした。

何かの誰かの世話をすることで人間は元気になるんだなぁと思います。

 

「もういつ死んでもいい。」

と口にする妹(母)に

「あら、そんな事考えてるの?だったら歳代わってよ、80代に戻りたいわ。先の事はね、考えないの。なるようになるのよ。」

と激励(?)する95歳の姉。

身体は衰えてしまったけど、楽天的で、おしゃれで、お肉をペロリと食べピザを美味しそうに頬張り、お医者の言うことを聞かず、こういう人が長生きするって本当だなと思いました。

 

お別れの時になり、またヨロヨロと支えられながら駅のエスカレーター下で見送ってくれました。

エレベーターで上がりながら振り返ると、その場でずーっと手を振り続けていて、こちらも今までこんなに手を振ったことがないんじゃないかと思うくらい、大きく手を振りました。

 

「また会える日を楽しみに…」

そう言葉を交わしながらも、ふたりともいつ何があってもおかしくないし、わかるうちに動けるうちに、間に合ってよかったとホッとしています。

 

それから帰りの新幹線の中で、疲れたのか母はずーっと眠っていました。

 

 

 

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