クローゼットも冷蔵庫も空にしてきた
本当なら春から首都圏にある大学に通うはずだった娘。
後期もオンライン授業に決まり、アパートに置いてある服やら靴やら小物やらを取りに行ってきました。
4ヶ月ぶりに入った部屋は、あの日のまま止まっていました。
虫除けにとベランダに植えたハーブは、プランターの中で枯れていました。
もっと部屋の中が変な匂いになっているかと心配していたけど、大丈夫でした。
冷蔵庫の中身を見て、冷凍食品や調味料を処分するにはどうにもしのびなくて、車で1時間ほど離れた所に住む貧乏な長男に連絡してみると、欲しい!と速攻で返信。
それならばと、米やら乾物やら持ち帰らず長男に渡すことにしました。
こんな所で暮らしているのかぁ…
大学卒業後、相談もなく自分でアパートを決め、引越ししてしまったので、来たのは初めて。だけど
「汚いから見せられない」
という本人の強い希望で、中には入れてもらえず荷物の手渡しのみ。
まぁ、見ちゃったら口やら手やら出てしまうだろうから、それもいいと思いました。
そうそう、娘のアパートのたまっていた郵便物を夫と娘が取り出しに行くと
ギャー!
と悲鳴が……。その後、袋いっぱいに回収した郵便物を持って
「 郵便物受けの中にGがいた!
びっくりしたけど、意外と普通の虫だね。
名前が悪いんじゃない?ぱ行だったら、印象が変わったかもね。」
とは生まれて初めて見た娘のGの感想。
地方の住宅街でGを目にすることは殆どないのです。
「いい部屋だなぁ。ここに住みたかったなぁ。来年の春、来れるのかなぁ。」
好きな物で揃えた自分の部屋を見渡し、娘は名残惜しそう。
期待に胸を膨らませていた新生活は始まらず、この先始まるのかも不透明です。
念のため、不動産屋さんに場合によっては解約することになるかも、の話をしたら、事情が事情なので違約金等は取らない、とのことでした。
クローゼットの中も冷蔵庫も空にして、アパートを後にしました。
通うはずだった大学の横を通ると、グラウンドでは陸上部の人影が見えます。
テニス部がいます。
「いいなぁ…」
でも、ひとり残っても、引きこもってオンライン授業を受けて課題をこなすのと、家事をこなすのに精一杯になるのが関の山。
たらればが止まらない娘の愚痴をBGMに、首都圏脱出です。
すると、先ほど食品処分に協力してもらった長男からLINEが。
冷蔵庫の中が過去イチ、パンパンになったよ
ありがとう
こちらこそ無駄にならずによかったよ
と返信しながら、どんな食生活なんだ、と母は思うのでした。
ポチっとお願いします
励みになります
↓↓