姉ちゃんにはもう送らない
実家の母は首都圏に住む姉たちと、父の姉妹に毎年2回葡萄や梨等を送っています。
高次機能障害で記憶障害や失語症となっても、その記憶は失われず、私が付いて行くようになったとはいえ、時期が来れば決まった農園へ頼みに行きます。
この夏も頼みに行ったのだけど、母と同じ83歳のそこのおばあちゃんが
「え〜⁉︎ 夏も送っていたかね?」
とか言い出して、
(もう何十年も続いてるじゃん…)
失語症の母は
「やだ、送っていたよ。2が3で、2が5で…」
とか言っているし、
(単位どうなってんのよ…)
「じゃあ(宅急便の)送り状を書いててね。葡萄が美味しくなったら取りに行くから。」
「うんうん、2が3で、2が5でね。」
「そう送り状にわかるように書いててくれるかね。」
「そうだね。2が3で…」(たぶん2軒が3房、もしくは3キロと言いたい)
そんなやり取りを他の話題を交えながら、何度も繰り返すのを見ながら、二人とも大丈夫かと不安になった。
家へ戻る車の中で母は
「あの人大丈夫だろうか…」
誰が誰を心配してるんだろうと思いながら、月末までに農園のおばあちゃんが送り状を取りに来なかったら、こちらから持って行けばいいやと思っていました。
そして8月末頃、従姉妹から私のところに
"美味しい葡萄をありがとう
おばちゃんのところへ母が電話しても出ないから
(私の所へ)連絡したよ 宜しく伝えてね"
と連絡があり、農園のおばあちゃんがちゃんと送ってくれたことがわかり一安心。
それと例年は9月の初旬発送だったのに、今年は1週間程早いなぁと思いました。
その後も別の従姉妹から同じような内容のメールがあり、母に伝えると
「電話なんて鳴ったかねぇ。」
と首を傾げながら
「(母の一番上の)姉ちゃんだけ連絡が来ない。
姉ちゃんにはもう送らない!」
と子どもみたいにプンプン。
そんな自分も電話に出れていないわけで…
「まぁまぁ、(お互い)高齢なんだから広い心で…」
となだめていました。
それが昨日、その姉ちゃんの息子さん(私にとっては従兄弟)から電話が来ました。
やはり、母が電話に出ないので私の所へ連絡してきたのでした。
「8月25日、母が永眠しました。」
てっきり葡萄のお礼と思っていたので言葉に詰まります。
葡萄が送られてきた時期と被り、バタバタして連絡が遅れてしまったことを詫び、家族葬が済んだこと、母が手配した葡萄は供物となってしまったとのことでした。
この時、いつもの年より1週間程早い発送でよかったなと思ったのでした。
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